市場環境

日本のBESS市場は今後15年で最大337GWhに到達する見込み

再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加しています。今後、原子力やガス火力の出力が増加したとしても、過剰供給時の「充電」ニーズや、瞬時の「放電」ニーズに応えるための調整力需要は依然として必要です。当社試算においては、2040年に最大337GWhの蓄電容量が必要になると見込んでいます※1

再エネ拡大により、日本の蓄電容量が2023年の2.2GWhから2040年に約300GWh、2050年に700GWh超へ急増するという試算を示すグラフ。

※1 本文中のすべての数値は経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。2050年の数値は、日本政府の提示した予測と、電力広域的運営推進機関「広域系統マスタープラン(広域連系研究会 報告書 2022)」に示された非化石電源比率目標に基づいて推定されており、その他の再生可能エネルギー発電量の数値については、独自の仮定を適用。特に2050年の数値は電力量ベースであり、容量及び蓄電池の容量は含まれない。2050年の原子力や火力の設備容量は、日本政府の提示した設備容量・建設投資費を超えた最大能力の追加が発生した場合に備えた独自仮定を適用。アンモニア混焼、石炭火力の設備容量及び発電量は日本政府の既存のクラス分配図を用いて推定した最大限化発電量が前提となる。その他の数値についても、上記資料を基に当社BESSに必要となると推定した場合に必要となる蓄電池設備容量であり、様々な要因により想定通りに代替が進まない可能性あり。

※2 2040年までの価格変動が生じないと仮定し、蓄電池システムの単価を3万円/kWhとして算出

日本の安全保障問題と密接に関係するBESS市場

2040年において必要となる蓄電池の容量の推定は、国内の原子力発電所すべての出力を上回る見込みです。また、安全保障上の観点においても BESS のセキュリティ強化が重要となっています。

2040年に日本で必要となる大規模蓄電容量が、原子力発電の約2倍規模に相当し、国家安全保障上BESSの国内制御が重要であることを示す図。

※1 本文中のすべての数値は経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。そのほかの再生可能エネルギー発電量の数値については、独自の仮定を適用。棒グラフの上限は老朽化した揚水水力発電が耐用年数を迎えた時点ですべて電力需要の調整機能を持つBESSに置き換わると推定した場合に必要となる蓄電容量を示しているが、様々な要因により想定通りに代替が進まない可能性あり

※2 GWh値を日本におけるリチウムイオン電池の一般的な放電時間である4時間で除して算出

※3 日本に現在設置されている原子力発電所の平均出力(2025年時点で1,003MW)に基づいて算出(出所:日本原子力安全機構)

※4 既存の国内原子力発電所の総認可発電容量(2025年時点で33.08GW)に基づき算出(出所:日本原子力安全機構)

出所:自然エネルギー財団 2023年(https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_BatteryStorage_JP.pdf